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苦しいときの・・

父が他界して半年ほど経った母の部屋でのこと。

エアコンの風に乗って頭の上から何か落ちてきた。
カラカラに干からびたそれは小さなミカンでした!
なぜこんなおぞましいものが? と見上げると・・
それは・・思い切って白状しますが 神棚から落ちてきたのでした。。。


家の中の神事は男 仏事は女の役目ということで
神棚のお供えごとはすべて父がやっていました。
それでなくても母は小柄だったのでノータッチ。
そんな両親を見て育った私は 誰が何しても関係ないわ と
結婚して隣家に移り住むことになっても
神棚も仏壇も実家にあるからね たまーに手をあわせるくらい。

父は年末に神棚をきれいに掃除して お飾りして
年明けに容態が悪くなって寝ついてしまい 4月に逝ってしまった。
母は父より先に病人だったので
私は隣家から 朝から晩まで時には夜中まで
両親の世話に来ていたけれど 
寝ている病人を見下ろすばかりで
上を見上げる余裕はなく 神棚の事なんて考えもしなかった。



父が亡くなって半年も過ぎて
私も母も落ち着いてきた頃に
天井から ゲンコツの幽霊みたいに落ちてきたのでした。
ミカンのミイラが。

なぜ神棚にミカンがあったのがよくわからないけど
神棚にはお榊のミイラが一対。
増殖した菌までミイラ化した酒器の中。。。。。
よくもこんな部屋に寝ていたものだわ・・と母の卒倒しそうな声。
父の死亡時には葬儀屋さんが 神棚封じといって
白い紙を貼っていたのだけど 忌明けにその紙を剥がしただけで
あとはそのままになっていたのです。

これって誰のせい?え~~私のせいなの?
これって私の仕事だったの?なんで?
神棚の大掃除をしながら 面倒くさいとしか思えませんでした。





─── あれから10年。
今日は朔日。今年ももう一ヶ月終わりました。
新しいお榊を飾り お水と盛り塩と洗い米。
母もとうにいなくなって 
神棚に関しては夫も手伝ってくれるようになりました。


おぼろげにわかってきたことがあるのです。

瑞々しいお榊の一対は だいたい2週間ほどで元気がなくなって
1日と15日に交換するときに 日々の流れを思います。
朝一番のお水(我が家では厳密に一番ではありませんが)と
お塩と洗い米をお供えできるのは
今日も生活のインフラが確保されているからです。
私は 私のこの生活が今日ももたらされた事に感謝します。

その思いを毎日あらたに出来る場所だと思っています。

神棚から下げたお水は 植木や鉢にかけて
またきれいに咲いてね とか 枯れないで元気でいてよ とか。
お塩は 庭にまいて まがまがしいものが来ませんように。
お米は ・・ワンコたちのお墓のそばにまいておくと
翌朝まで一粒残らずなくなっています。
小鳥たちがやってきてお食事していくのね。
お墓に供えてあるお水もついでに飲んでいくみたい。





『神様お願いです・・』 と願い事をすることしかなかった若い頃。
まさしく苦しいときの神だのみそのものでした。

今の私にとって神棚に毎日むかう事は
宗教観というより 自分の心持ちに向き合う事に近いと思っています。
あたり前の毎日に感謝する事を忘れていないか。
自分を取り巻くすべての存在を感じていられるか。
神棚の前でどの程度清廉な人間として立つことが出来るか。

本当に苦しいときは 神様に助けてもらえないかと期待するより
この世界の中に生かされている自分を思うほうが心が落ち着きます。

還暦を前にして ちょっとは悟ってきたような?
単に年寄りくさくなっただけ?






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by sogno_sonyo | 2016-02-01 23:59 | 生活

すべて世は事も無し。


by そにょ
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